痩せすぎ外来の開設
痩せすぎ外来のご案内 ~健康的な体重を取り戻すために~
はじめに
当クリニックでは、新たに「痩せすぎ外来」を開設しました。
「体重が増えない」「食べても太れない」「最近急に痩せた」「体力が落ちてきた」など、痩せすぎに関するお悩みを抱える方は少なくありません。
痩せていることは一見健康的に思われることもありますが、過度な痩せは健康リスクを高め、内科的・精神的な疾患が隠れている可能性があります。
また、女性では無月経・骨粗しょう症のリスク、高齢者ではサルコペニア(筋肉減少症)やフレイルの原因になることもあります。
当院の痩せすぎ外来では、単に「体重を増やす」ことを目標とするのではなく、原因を明らかにし、適切な治療を行うことで健康的な体重へ戻すことを目的としています。減量外来と異なり保険診療で行います。
本記事では、痩せすぎの原因、診療の流れ、治療法などについて詳しくご説明いたします。
※痩せすぎ外来を開設してから7カ月経過しました。いろいろと奥深いことがわかってきました。現時点で院長が考えていることを言語化しました。
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痩せすぎとは?どのようなリスクがあるのか
1-1. 痩せすぎの定義
痩せすぎは、一般的にBMI(体格指数)が18.5 kg/m2未満の状態を指します。
特にBMI 16未満は高度な痩せとされ、医学的に注意が必要な状態です。
BMIの計算式:
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)²
例)身長160cm・体重45kgの場合:
BMI = 45 ÷ (1.6 × 1.6) = 17.6(痩せ気味)
1-2. 痩せすぎの健康リスク
痩せすぎの状態が続くと、以下のようなリスクがあります。
① 免疫力の低下
- 感染症にかかりやすくなる(風邪・肺炎など)
- 傷の治りが遅くなる
② 栄養不足による全身症状
- 貧血(鉄分・ビタミンB12不足)
- 低血糖・低アルブミン血症
- ビタミン・ミネラル不足
③ 筋肉量の低下(サルコペニア)
- 歩行困難・転倒リスク増加
- 慢性疲労
- 基礎代謝の低下
④ 内分泌異常
- 無月経(女性の場合)
- 甲状腺機能異常
- 骨粗しょう症(骨折リスク増加)
⑤ 精神的な問題
- 摂食障害(拒食症・過食症)
- うつ病・不安障害
- ストレスによる食欲低下
これらの問題を放置すると、健康状態がさらに悪化し、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
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痩せすぎの原因を探る
2-1. 内科的疾患
まず、体重減少の背景に病気が隠れていないかを調べることが重要です。
特に以下の疾患は、体重減少を引き起こす可能性があります。
① 内分泌疾患
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
→ 代謝が過剰に亢進し、体重減少・動悸・発汗増加を引き起こす。
- 副腎不全(アジソン病)
→ 倦怠感・血圧低下・食欲不振・皮膚褐色化を伴う。
- 糖尿病(1型でも2型でも)
→ インスリン不足により栄養がうまく吸収されず、体重が減少。
→ 重度の尿糖排泄のために高度の脱水になり体重が減少。
② 消化器疾患
- 胃腸障害(慢性胃炎・ピロリ菌感染・吸収不良症候群・下痢型過敏性腸症候群)
- リーキーガット症候群(別項目を立てます)が注目されています
- シーボー(SIBO)という考え方も出てきました
- クローン病・潰瘍性大腸炎
- 慢性膵炎
- 慢性肝疾患
- がん(胃がん・大腸がん・膵臓がん)
③ 感染症・慢性疾患
- 結核・HIV・寄生虫疾患
- 慢性消耗性疾患(悪性腫瘍、慢性心不全、慢性呼吸器疾患、慢性腎不全、肝硬変、自己免疫疾患)
- 神経変性疾患(筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病)
2-2. 精神的な問題
- 摂食障害(拒食症・過食症)
- うつ病・不安障害
- 強いストレスによる食欲低下
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診療の流れ
3-1. 初診(問診・診察)
まず、詳しい問診と診察を行います。
✅ いつから体重が減ったか?
✅ 食欲はあるか?
✅ 便通・消化の問題は?
✅ 甲状腺の症状(動悸・発汗)は?
✅ ストレスやメンタルの問題は?
✅ 神経所見(腱反射、音叉による振動覚)―最近、膝蓋腱反射および膝骨の振動覚が減弱あるいは消失していることに気付きました。丁寧に神経所見を調べます。
3-2. 必要な検査
症状に応じて、以下の検査を行います。
✅ 血液検査(鉄・亜鉛・マグネシウム・ビタミンD、ビタミンB1・B12、糖尿病、栄養状態)
✅ 便検査(消化不良・腸炎)
✅ 腹部エコー・胃カメラ・大腸ファイバー(消化器疾患のチェック)
✅ ホルモン検査(副腎・甲状腺)
✅ 便のフローラ検査(希望者、外部に依頼、自費になります)
✅ SIBO診断のための呼気検査(希望者、外部に依頼、自費になります)
✅ 体組成を測定します―食べても太らない、太れないというお悩みは深刻なものがあります。体脂肪量や筋肉量を測定します。食事のバランスは取れているか、偏食していないか、ビタミンやミネラルなど不足していないか、摂取カロリーは適切か、水分摂取量は十分か、脱水になっていないかなど振り返るポイントは多数あります。痩せすぎ外来の患者様も栄養指導を受ける際に体組成測定を実施します。☞ お知らせ
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治療方針
4-1. 内科的治療
✅ 甲状腺機能亢進症 → 抗甲状腺薬治療
副腎不全 → グルココルチコイド投与
✅ 糖尿病 → インスリン欠乏の1型 → インスリン導入
インスリン抵抗性の2型 → メトフォルミン、SGLT2阻害薬、GLP-1作動薬
✅ 胃腸障害 → 消化機能改善薬(リパクレオン®、ベリチーム®)
✅ 腸内細菌悪玉菌 → プロバイオティックス投与(ミヤBM®、ビオスリー®)
✅ 亜鉛・ビタミン欠乏症 → 該当する成分の補充
✅ SIBO → プロトンポンプ阻害薬の中止、抗菌薬投与(議論あり)
4-2. 栄養療法
✅ 高カロリー・高たんぱく食の指導
✅ サプリメント(ビタミンB1・B12・D、ミネラル)補充
✅ 栄養補助食品(エンシュア®、メイバランス®など)の活用
4-3. 心理療法
✅ カウンセリング(摂食障害・ストレス対策)
✅ 薬物療法(必要に応じて抗うつ薬)
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まとめ
「痩せすぎ」は単なる体型の問題ではなく、深刻な健康リスクを伴うことが多いです。
当院では、内科・消化器・内分泌・神経内科・精神的な要因を総合的に評価し、適切な診断と治療を保険診療で提供いたします。
最近注目されている考え方のリーキーガット症候群とシーボー(SIBO)についても注意を払っています。クリックして遷移してください。
「最近痩せすぎてきた」「健康的な体重をとり戻したい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください!
2025年3月17日 第1稿
2025年9月24日 第2稿
