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開院して1年に思う

[2024.05.06]

2023年5月8日にここの内科クリニックを開院してちょうど1年経過しました。急に思いついた開業までもその準備に慌ただしい日々であり、その後はもっと多忙を極めました。こんな年齢になってわざわざ荒波に乗り出すこともなかろうにとの声も外からは届きましたが、自分自身はそのように思ったことは一度もありません。開業してむしろそうしてよかった、いやそうすべきであったという感を禁じえません。その理由として、まずは医療の現実を肌身で知ることができたのは良かったと思います。これまで公立病院や大学病院で知っていた医療は1つの側面に過ぎず、医療という怪物は一側面を知るだけでは全く不十分であったということです。群盲象をなでるの言葉通り、臨床医学のごく一部しか体験していなかったことを実感しました。次に臨床医療の問題は、大学病院などの大病院の高度に専門化しすぎた体制も問題をはらんでいると気づかされました。患者さんのちょっとした訴えに対していくつかの専門科目に相談することになり、このことの煩雑さ、あるいは無責任さを知ることになりました。一方、かかりつけ医は全身を診ることになるため、ある程度までは自分で処理し、これ以上は基幹病院に依頼する方がよいという分岐点を学ぶことができます。その点では、多くの患者さんはいきなり大病院に行くよりも全身を診てくれるかかりつけ医を見つける方が100倍いいと思われます。ただ、かかりつけ医が基幹病院までの橋渡しの役割を担うためには、ドクターみずからの医療水準を高める必要があり、高度に進化している医学・医療の世界では愚直にかつ真摯に学修する姿勢が求められます。私が知る多くのかかりつけ医の先生は、日々そのように努力しているかたばかりでした。国および世間の見方は一部偏見があるものと思われ、その偏見をなくすためにも医師一人ひとりが保険診療の枠組みを熟知して力を尽くす必要があると思います。そしてこのクリニックを患者さまにかかりつけ医として選んでもらえるようにしていかねばならないと意を決した次第です。

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