減量外来の開設
減量外来のご案内 ~マンジャロを用いたメディカルダイエット~
はじめに
当クリニックでは、体重適正外来のなかに太り過ぎを心配される方向けに「減量外来」を開設し、最先端の治療薬である「マンジャロ(チルゼパチド)」を用いた減量治療を提供いたします。
太りすぎは美容上の問題だけでなく、高血圧、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化、心血管疾患さらには痛風や慢性腎臓病など、ありとあらゆるさまざまな疾病の基盤となり健康寿命を大きく縮める重大な病態です。
「ダイエットをしてもなかなか痩せられない」「リバウンドを繰り返している」「運動の仕方がわからない」「ほかに持病があるのでどのような方法が適切かわからない」「健康的に体重を減らしたい」といった方々に向けて、ほとんど副作用がなく医学的に安全で効果的な減量方法を提供します。それがマンジャロを用いた治療法なのです。
当クリニックでの減量外来は自費診療となります。本記事では、減量治療の重要性やマンジャロの特性、治療の流れ、費用、注意点などを詳しくご説明いたします。「無理なく、健康的に、確実に体重を落としたい」とお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。なお糖尿病をお持ちの場合は、保険診療が可能になりますので別途ご相談ください。治療戦略の中でマンジャロを用いた処方箋を考えます。
※ところで重度の肥満のかたに対して、条件を満たせば保険診療でGLP-1受容体作動薬のセマグルチド(商品名ウゴービ)を用いた治療が可能になりました。該当する方は適合する病院を紹介いたしますのでご相談ください。このページ最後にその条件を記載してあります。
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肥満とは?なぜ治療が必要なのか
1-1. 肥満の定義と健康への影響
肥満は単に「太っている状態」ではなく、体内に過剰な脂肪が蓄積された病的な状態を指します。
BMI(体格指数)が25 kg/m2以上を「肥満」と定義し、特にBMI 35 kg/m2以上は重度肥満とされます。
BMIを求めるには以下の計算式を用います。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例えば、170 cmで体重78 kgですと、
BMI=78÷1.70÷1.70=27.0 kg/m2と計算され肥満と診断されます。
なお、肥満症という場合は「肥満を原因としてほかの健康障害をひきおこしている病態」を表す用語です。
具体的には、肥満は以下の疾患のリスクを大きく高めます。
- 生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)
- 心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中)
- 脂肪肝(MASLD/MASH)
- 睡眠時無呼吸症候群
- 筋骨格関節疾患(変形性膝関節症、骨粗しょう症など)
- がん(大腸がん、乳がんなど)
- メンタルヘルスの問題(うつ病・不安障害など)
肥満は見た目の問題だけでなく、健康寿命を縮めることが知られています。そのため、医療的アプローチによる適切な体重管理が重要なのです。
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マンジャロ(チルゼパチド)とは?
2-1. マンジャロの特性と作用機序
マンジャロ®(一般名:チルゼパチド)は、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)とGIP(胃抑制ペプチド)の両方の作用を持つ「デュアルインクレチン作動薬」です。もともとは2型糖尿病の治療薬として開発されましたが、体重減少効果が非常に高いことが確認され、肥満症治療薬として注目されています。実際、商品名ゼップバウンド®はマンジャロと同じ成分であり、肥満症に対して適応が認められ保険診療が可能になりました(保険適応条件は下記のウゴービ®の場合と同一です)。
2-2. マンジャロの主な作用
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食欲抑制作用
- 脳の食欲中枢(視床下部)に働きかけ、食欲を低下させます。
- 自然に食事量が減り、無理なく摂取カロリーを抑えられます。
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胃の排出速度を遅らせる
- 食後の満腹感を長く持続させ、間食を防ぐ効果があります。
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インスリン分泌の促進
- 食後の血糖値上昇を抑え、脂肪の蓄積を防ぎます。
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脂肪燃焼を促進
- 体脂肪の分解を促し、筋肉量を維持しながら減量できます。
2-3. マンジャロの効果
臨床試験では、マンジャロを16週間使用した場合、平均で体重の15~20%減少したというデータが報告されています。
これは、従来のGLP-1受容体作動薬(セマグルチドなど)よりも高い減量効果を示しています。
2025/05/12付けで関連したニュースを院長ブログに掲載しました(抗肥満薬の直接対決)。
さらに追い打ちをかけるように2025/05/28付けで日本人肥満患者を対象とした質の高い臨床試験の結果が発表されました(マンジャロの日本人対象の研究結果が発表されました)。
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治療の流れ
3-1. 初診(カウンセリングと検査)
まずは、医師とのカウンセリングを行い、以下の確認を行います。
- 現在の体重・BMI・腹囲・健康状態
- 既往歴・服用中の薬
- 血液検査(肝機能、腎機能、脂質異常症、糖尿病の有無など)
- 尿検査(蛋白、糖など)
- 治療の適応可否
原則として糖尿病がないこと(もしあれば保険診療が可能です)、BMI 25 kg/m2以上である方が対象になります。治療が適していると判断された場合、マンジャロの投与計画を立てます。
また、初診からのオンライン診療も可能ですが、初回検査無料の特典が得られないことになります。
3-2. 投与計画
- 初月は低容量(2.5 mg)の注射薬を週1回の皮下注射を行います。初回はクリニック内で熟練した看護師が指導します。下の動画が参考になりますのでご覧ください。
- 翌週からは週1回の自己注射(皮下注射)を行います。
- 食事習慣や栄養摂取はきわめて重要なファクターです。管理栄養士による栄養指導を初回必須で行います。
- 1か月後に医師の再診を受け、問題なければ通常容量でかつ最低量のマンジャロ 5 mgに増量します。
- 2か月以降もマンジャロ 5 mgで維持しますが、7.5 mg、さらには10 mg以上に増量することもあります。
- ただし、下表のように容量に比例して高額になりますので、患者さんの希望をお聞きしながら柔軟に行います。
3-3. 定期フォロー
- 4週ごとに医師の再診を受け、医師の指導のもと安全に進めます。
- 体重や腹囲の変化をモニターし、副作用がないことを確認いたします。
- 必要に応じてマンジャロ 7.5 mg以上の容量に増量することも検討します。
- 治療の効果には個人差がありますが、通常は6か月から1年継続します。それ以降も少量で維持することもあります。
- マンジャロ 2.5 mgはあくまで身体が慣れるための初期容量ですので、このままでは体重減量効果が十分に発揮できません。5 mg以上を維持することで真の減量効果が発揮されます。
- リバウンドせずに減量に成功するためには食習慣、運動習慣を含めた三位一体のアプローチが極めて重要ですので、一緒に取り組んでいきましょう。
※まずは半年後に5~8 kg以上(7~10%前後)の減量を目標にしましょう。これまでの実績からは十分可能な数字です。
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費用
| マンジャロ容量 | 1か月4本分 | 1本当たり | その他 |
| 2.5 mg | 16,280円(税込) | 4,070円(税込) |
●初回診療料:当院受診歴なし3,300円(税込) 当院受診歴あり2,200円(税込) ●初回栄養指導(必須):3,300円(税込)。体組成測定・握力測定・結果説明が加わりました。フォローアップ時は減量外来特典として管理栄養士からの説明付きで1,100円(税込)です。 ●初回血液・尿検査:無料サービスです。 ●オンライン診療の時:プラス1,100円(税込) |
| 5 mg | 28,600円(税込) | 7,150円(税込) |
●月1回の継続診療料:1,100円(税込) ●オンライン診療の時:プラス1,100円(税込) |
| 7.5 mg | 39,600円(税込) | 9,900円(税込) |
●月1回の継続診療料:1,100円(税込) ●オンライン診療の時:プラス1,100円(税込) |
| 10 mg | 48,400円(税込) | 12,100円(税込) |
●月1回の継続診療料:1,100円(税込) ●オンライン診療の時:プラス1,100円(税込) |
| 12.5 mg | 57,200円(税込) | 14,300円(税込) |
●月1回の継続診療料:1,100円(税込) ●オンライン診療の時:プラス1,100円(税込) |
| 15 mg | 66,000円(税込) | 16,500円(税込) |
●月1回の継続診療料:1,100円(税込) ●オンライン診療の時:プラス1,100円(税込) |
| 長期ご利用特典 | 36本(9か月相当)処方した場合は、次回から3%ディスカウント |
72本(18か月相当)処方した場合は、次回から5%ディスカウント |
※注意:自己申告してください。途中ブランクが生じても処方本数で判断しますのでご安心ください。 |
※2025/08/21に薬品価格を改定しました。よりお求めやすい料金体系にいたしました。長期ご利用いただいておられる方に還元する目的でディスカウント制度を設けました(上表参照)
※マンジャロの受け渡しはクリニックで行いますが、保冷剤入りクールパックを持参してください。とくに5月から10月は必須のアイテムです。冬場も冷却のまま持ち帰るのが安心です。
※ダイエットを成功させるためには食習慣の改善も重要です。管理栄養士による食事指導1回分を必須といたします(オンラインでも可能です)。尿生化学検査によってわかる塩分、野菜・果物の摂取状況、尿ナトカリ比についても説明します。2か月目以降は、必要性に応じて行いますが自費2,200円(税込)になります。体組成・握力測定追加で3,300円(税込)となります。
※このたび体組成測定で定評がある最新のInBodyを導入いたしました(2025/10/17)。当院では、マンジャロ®(チルゼパチド)を用いた減量治療に際して、体重だけでなく、体脂肪量・筋肉量・内臓脂肪レベル・基礎代謝量・握力などを細かく測定し、身体の変化を「数字」で可視化します。これにより、単なる体重減少ではなく、筋肉を保ちながら脂肪を落とす「健康的な減量」をサポートします。測定結果はわかりやすいレポート形式でお渡しし、当院の管理栄養士から詳細に説明します。治療経過や生活習慣の改善に役立てていただけます。医師が体組成測定結果をもとに個別のアドバイスを行うことで、より確実で安全な体重管理を実現します。
※初回検査の項目は、尿一般(蛋白、潜血、糖、pH、比重)、尿生化学(クレアチニン、ナトリウム、カリウム、尿酸)、血液検査(血糖、HbA1c、ASL、ALT、γ-GT、クレアチニン、尿酸、中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール)です。初回検査は無料で施行いたします。
※経過中、必要性があれば血液検査・尿検査を反復しますが、自費2,200円(税込)かかります。
※オンライン診療を希望される場合は、薬品4本分が適切な品質管理のもと自宅宛てに送付されますが、別途送料がかかりますので極力クリニックにおいでください。当院のクール便は東京圏であれば1,730円(税込)です。
※使用済みの注射器は家庭ゴミとして廃棄しますと条例違反になります。必ず当院に返却してください(郵送、宅急便、代理人でも可)。
※長期外国旅行あるいは帰省などで、温度管理が厳格な注射薬の持ち運びが困難な場合は、一時的に温度管理を必要としない内服薬で対応することも可能です。具体的にはリベルサス®に変更して薬の効果を継続させますが、詳細は院長にご相談ください。
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副作用と注意点—基本的にほとんどありません。
5-1. 主な副作用
- 吐き気・胃もたれ・腹痛
- 便秘・下痢
- 頭痛
- 低血糖と関連症状(冷や汗、頭痛、めまい、脱力感、倦怠感、集中力の低下、動悸、ふるえ、めまい、意識消失など)
- 副作用が出現した場合の治療も自費診療になることをご承知おきください。
5-2. 使用できない方
- 本剤に対し過敏症の既往歴のある方
- 妊娠中・授乳中の方(妊娠予定のときは2か月前に休薬します)
- 重度の胃腸障害や膵炎がある方
- 甲状腺疾患がある方は甲状腺エコーで確認いたします
5-3. 他の薬剤との相互作用
- 高血圧や脂質異常症の薬との相互作用はありません
- 花粉症の薬とも相互作用はありません
- AGAやEDの薬との相互作用もありません
- ただし体重減少によりインスリン抵抗性が改善すれば、高血圧が改善傾向になる可能性があります。血圧が下がりすぎないように注意していきます。特に夏場は降圧薬を減量する必要もあります
- 避妊目的の低用量ピルの効果は20%ほど減弱しますので、望まない妊娠につながる危険があります。詳細は医師にお尋ねください。
- その他の薬剤との相互作用も注意が必要ですので主治医にお尋ねください
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まとめ
以上のようにマンジャロを用いた肥満治療は、「食欲抑制」「脂肪燃焼促進」「血糖管理」「インスリン抵抗性の改善」など多くの利点があります。
「自己流ダイエットでは痩せられない」「健康的に痩せたい」「運動もしたいが筋骨格・関節の障害があり難しい」などダイエットについてお悩みの方は、最新の医療の力を活用した減量治療を試してみませんか?
ただし費用対効果の薬剤選択、他の薬剤との相互作用、副作用の出現と対策など専門的な知識が必要です。薬剤を手にいれて自己注射するだけのやり方では危険であるだけでなく非効率です。減量効果は投与容量に正比例するというデータがあります。しっかりと必要な量を使って減量を成功させましょう。そして肥満症に伴う健康被害をくいとめ、毎日を明るく幸せな気持ちですごしましょう。当院では専門知識を有する院長がお一人お一人に適合した処方を作成します。関心がおありの方は、お気軽にご相談ください!オンライン診療でも大丈夫です。お待ちしています!!
2025/03/17 第1稿
2025/05/12 第2稿
2025/06/17 第3稿
2025/08/21 第4稿
2025/10/17 第5稿
<ウゴービ®あるいはゼップバウンド®による保険診療可能な肥満対象患者>
1.最新の診療ガイドラインの診断基準に基づき、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断がなされ、かつ以下を満たす患者であること。
・ BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害(注1)を有する。
・ BMIが35 kg/m2以上
(注1)肥満症に関する健康障害(1)耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)(2)脂質異常症(3)高血圧(4)高尿酸血症・痛風(5)冠動脈疾患(6)脳梗塞(7)非アルコール性脂肪性肝疾患(8)月経異常・不妊(9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群(10)運動器疾患(11)肥満関連腎臓病
2.高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病並びに肥満症に関する最新の診療ガイドラインを参考に、適切な食事療法・運動療法に係る治療計画を作成し、本剤を投与する施設において当該計画に基づく治療を6ヵ月以上実施しても、十分な効果が得られない患者であること。また、食事療法について、この間に2ヵ月に1回以上の頻度で管理栄養士による栄養指導を受けた患者であること。なお、食事療法・運動療法関しては、患者自身による記録を確認する等により必要な対応が実施できていることを確認し、必要な内容を管理記録等に記録すること。
3.本剤を投与する施設において合併している高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病に対して薬物療法を含む適切な治療が行われている患者であること。本剤で治療を始める前に高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれか1つ以上に対して適切に薬物療法が行われている患者であること。
※上述しましたように、近隣の基幹病院に紹介いたします。
